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『アンセム』(原題: ''Anthem'')は、アイン・ランドのディストピア中編小説である(「Anthem」は賛歌を意味する英語)。1937年に執筆され、1938年にイギリスで出版された。特定されない未来の時代を舞台にしている。そこでは人類が再び暗黒時代に入り、技術の進歩が統制され、個人の概念が排除されている。 ==あらすじ== この物語の主人公である<平等七の二五二一号>(Equality 7-2521)が、地下のトンネルでろうそくの明かりを頼りに、それまでの自分の人生を書いている。彼は自分のことを「我々」と呼び、一人の他人を指す時も「彼ら」と書く。彼は「私」「彼」「彼女」といった単数人称を使わない。 <平等七の二五二一号>は、他の子どもたちと同様、生まれてすぐに親から引き離され、集団生活の「館」(ホーム)で育てられた。やがて彼は、自分が他の子どもより学習が速く、質問が多いのは、生まれつき「呪い」をかけられているせいだと理解する。少年時代、「事物の科学」(Science of Things)が得意だった彼は、将来「学識びと」(Scholar)になることを夢見る。しかしすべての人々の生涯の職業を決定する「天職協議会」(Council of Vocations)は、彼に「街清めびと」(Street Sweeper)の職業を割り当てた。彼は「街清めびと」の職に就くことを、自分が犯した罪の償いとして受け入れた。すなわち「学識びと」になることを密かに望んだことで、「何かをより好むという罪」(Transgression of Preference)を犯した償いとして。 <平等七の二五二一号>は、<団結五の三九九二号>(Union 5-3992)と<国際四の八八一八号>(International 4-8818)との3人のチームで働いた。<国際四の八八一八号>は、<平等七の二五二一号>の唯一の友人だった(ある人間を特別に好むことも、「何かをより好むという罪」だった)。ある日彼らは、割り当てられた清掃場所で、廃トンネルの入口を見つけた。<国際四の八八一八号>は、「協議会」の許可がない探索は一切禁止されていると制止したが、<平等七の二五二一号>はトンネルに入り、そこに線路が引かれているのを見つけた。<平等七の二五二一号>は、このトンネルが、遠い昔の「語られざる時代」(Unmentionable Times)の遺物であることを理解した。以後、<平等七の二五二一号>は、「街清めびと」全員が毎晩義務づけられている演劇鑑賞の時間、密かに劇場を抜け出し、秘密のトンネルに篭り科学実験をするようなった。彼は紙を盗み、日記を付け始めた。秘密のトンネルの発見から2年が経ち、彼は21歳になっていた。 「都」(City)の外れの道路を清掃している時、<平等七の二五二一号>は、畑で働く17歳の「農耕びと」(Peasant)の女性、<自由五の三〇〇〇号>(Liberty 5-3000)と出会う。彼は<自由五の三〇〇〇号>のことをいつも考えるようになる。二十歳以上の男が、春の「交接期」(Time of Mating)に1人の女性をあてがわれるのを待たず、特定の女性のことを考えるのは、犯罪だった。褐色の瞳と金色の髪を持つ<自由五の三〇〇〇号>を、<平等七の二五二一号>は<金色の人>(The Golden One)と名付ける。彼は彼女に話し掛け、彼女も彼のことを考えていたことを知る。その後、彼が彼女に付けた名前のことを教えると、彼女も彼を<征服されざるもの>(The Unconquered)と名付けていたことがわかる。 科学実験を続ける過程で、<平等七の二五二一号>は電気を再発見する。彼はトンネルの廃墟から、銅線が入ったガラスの箱を見つける。電気を通すと、その箱は光を放つ。彼はこの発見を、「学識びと世界協議会」(World Council of Scholars)に報告することを決意する。人類にこれほど貢献する発見を報告すれば、彼の罪の重さを相殺して余りあるだろうし、「街清めびと」から「学識びと」にしてもらえるに違いないと考えたからである。ところがある晩、彼は砂時計を確認し忘れて地下トンネルから劇場に戻るのが遅れ、劇場にいなかったことがばれてしまう。彼は「矯正監禁宮殿」(Palace of Corrective Detention)で鞭打ちの刑に処され、拘禁される。「学識びと世界協議会」が開催される前の夜、彼は容易に「矯正監禁宮殿」を脱出する。それまで脱出を試みた者が一人いなかったため、「矯正監禁宮殿」には一人の警備員も配置されていなかった。翌日、彼は「学識びと世界協議会」に顔を出し、自分の発見を発表する。「街清めびと」の分際で無許可の研究をした<平等七の二五二一号>を、「学識びと」たちは口汚く罵り、刑に処されるべきだと言う。彼らは、このような発見は「世界協議会計画」(Plans of the World Council)や「蝋燭局」(Department of Candles)を崩壊させる恐れがあるので、破壊するべきだと主張する。<平等七の二五二一号>は発表に使ったガラスの箱をつかみ、「都」から離れた「未知の森」(Uncharted Forest )に逃げ込む。 <平等七の二五二一号>は、仲間を捨てた自分は今や呪われた者だと考えるが、自由を謳歌する。彼を森まで追ってくる者は誰もいない。彼はただ<自由五の三〇〇〇号>(「金色の人」)に会いたいと思う。「未知の森」で暮らし始めて2日目、彼を追ってきた<自由五の三〇〇〇号>が彼の元に現れる。彼らは森で一緒に暮らす。彼らは互いへの愛を表現しようとするが、個人としての愛を表現する言葉が見つからない。 <平等七の二五二一号>と<自由五の三〇〇〇号>は、「語られざる時代」に建てられた一軒家を山の中に見つけ、そこで暮らすことにする。その家の書庫にあった数多くの本を読んでいるうちに、<平等七の二五二一号>は「私」(I)という単語を発見し、<自由五の三〇〇〇号>に教える。個人の概念を再発見した彼らは、本を参考に、自分たちに新しい名前を付ける。<平等七の二五二一号>は「プロメテウス」を名乗り、<自由五の三〇〇〇号>は「ガイア」を名乗る。「プロメテウス」は人類の歴史を語り、人類が個人性を放棄してしまった経緯を不思議に思う。彼は、自分たちが再び個人性を獲得する未来について語る。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アンセム (小説)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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